『ありがとう(第2シリーズ)』の感想-第34回-
2016/5/19 木曜日 - 23:53:39 - タグ: ありがとう第2シリーズ
婦長さんの「新ちゃんお願い作戦」は、弱った虎先生と新を二人きりにしてお互いの素直な気持ちをさらけ出させるだけでなく、同時に院長先生の新に対する心証を良くするという、一石二鳥の素晴らしい作戦であった。
もちろん作戦を成功させるには新の家事能力が必須であるし、新は期待を上回る活躍をみせた。
夜勤帰りのお母ちゃんに婦長さんが新の働きぶりを報告した。
「ただね、縁結びの神様がなんとなく虎先生と新ちゃんのまわりを動き出している。どうもそんな気がしてならないのよ。好きになるってことは自然なことでしょ。運命がそういうふうに動き出しているとしたら、友さん、逆らったってだめよ」
もしも縁結びの神様がいるとしたら、きっと、いつでも他人を気遣える落ち着いた、趣味はLP収集の優しい女性なのではないか。ま、婦長さんのことなんですけどね。
「逆らったってだめよ」の言葉が頼もしくていいなあ。
新が作った朝ご飯が豪華すぎる。
・ワカメの味噌汁
・キュウリと蟹の酢の物
・タラコの焼いたの
・いり鶏
ちょっと新さん!朝っぱらから手間をかけすぎでしょ!
これ普通?普通じゃないよね!?こんなに作らないとお嫁さんになれない!?
虎先生も起きてきた。お腹が空いたという。ご飯を部屋まで運びましょうかと新は気を回すが、虎先生は食卓で食べるからと断った。
「いま顔洗ってくるからな」
虎先生はアレですよね。「すぐ帰るからな」といい、ちょいちょい新に対して亭主気取りの喋り方をしますよね。
二人揃ってダイニングを出て行く後ろ姿を見やる院長先生。
虎先生の朝ご飯を見て
「半熟卵か……」
院長先生は、どこぞの保育園の園長先生よりも勘が鋭そうだ。
朝ご飯を食べた虎先生に「旨い」と言われて嬉しそうな新。
褒められて素直に喜ぶ新くんはレアですよ。虎先生しっかり眼に焼きつけておかないと!
どうした広道、ホゲーッとして(十七子は実家に帰省中)
広道は全然自覚してないっぽいけど、十七子に惹かれているのかもね。
自分自身の気持ちに鈍感な男に惚れると苦労するよー。まあ十七子だから広道がどうあれ勝手に楽しんじゃいそうだけど。
主人公の恋の相手役としては、広道みたいな恋愛感情に鈍いパターンが多いんじゃないかな。『ありがとう』のCMもそんな感じ(新は虎先生が好きだけど、虎先生の気持ちはわからない)。
最初っから新くん好き好きでデレデレしている虎先生が稀少なのだ。
広道は虎先生の具合を診るついでに昨晩の新くんの様子を伺う。
虎先生は新くんがいかによくやってくれたかをくどくどと説明。
「とにかく優しかったんだよ、ゆうべから。いつもの彼女らしくなかったよ」
「案外それが本当の古山くんかもしれんぞ」
「俺もそう思うんだ」
虎先生は小林知子さんとの縁談を断ると明言した。
「古山くんと結婚できなくてもか?」
「ああ。やっぱり自分の気持ちに忠実でありたいよ」
ようやく虎先生の腹が決まった。
鉄之介が遅れて登場。ゆうべ新が虎先生の看病をしたときくと
「古山くんじゃダメだな。僕の小雪さんにきてもらえばよかったね」
これが虎先生の逆鱗に触れる。
「おまえ、下手なことを言うとぶっ飛ばすぞ。おまえの女房が日本一だと思うな馬鹿」
直後、新が部屋に入る。
「サンドイッチつくったものですから、召し上がっていただこうと思って」
「おいしそうだねえ」
虎先生の声色が変わりすぎw
新が「下にもサンドイッチをご用意してますから」と勧めているときにはニコニコきいていて
広道と鉄之介がグズグズしていると
「おい、下いけよ!」とせっつく。
虎先生の豹変ぶりがすごい。
邪魔者がいなくなったところで。
新くんが「卵でしょ、ハムでしょ、キュウリでしょ」と一生懸命説明しているのに
虎先生は途中からサンドイッチじゃなくて新くんを見ているから。
清拭をしようとする新と遠慮する虎先生が揉み合い
| ゴロゴロ
|r’⌒X⌒ヽ ∩゙⌒゙、⊃
|ヽ__乂__ノ (。Д。)⊃ モファ
1日ぐらいお風呂に入らなくたっていいじゃんって思っちゃったんだけど、まだ8月でしたね。それに高熱で汗もかいたろうし。
結局、清拭をすることにしたようで、新が虎先生の背中を拭いてあげながらしみじみと
「痩せちゃったわね……」
いやいや、たった1日じゃ痩せませんて。
一晩熱を出しただけで痩せる風邪だったら、何度でもかかりたいもんだ。
二人きりで清拭なんかやっていると当然こうなりますわな。お約束。
出て行ってしまった小林知子さんを新が追いかけて引き留めた。
小林知子さんは十家に戻り虎之介に別れを告げるのだった。
見事な引き際でした。
いろいろやらかしてくれている水戸さんに比べると、仙台からとんぼ返りした程度の小林知子さんは気の毒だなあとは思う。
新に妬かせるために、電話で「知子さんは着物が似合うから~」とか言っちゃってたしさ。新を煽るために利用しちゃってさ。この点に関しては虎先生は酷い男だよ。
そもそも小林知子さんとの縁談がなかったら、虎先生は未だに結婚も意識せずにグズグズしてたかもしれないよ。
小林知子さんとすれ違いに広道が入ってきた。
縁談が破談した虎之介に「頑固だな、おまえも」と笑いかける広道に
「だって子どもの頃からずっと好きだったんだもん。いまさら変えるわけにはいかないんだ」
第1回から虎先生の態度が新にデレデレだったのは明らかでしたが、虎先生が新をいつから好きだったかは言及されてませんでした。
子どもの頃からと明言したのはこのときが初めて(のはず)。
後づけ設定かな?と思えなくもないけど、二人の遠慮のないケンカっぷりからして長いつきあいのようにも見えますね。
さあ~~って、ここまで既に長々と書きましたが、今回のクライマックスはいよいよここからですよ。
広道から虎先生が再び発熱したときいて十家に戻る新。
「ご気分いかがですか?」
「うん……苦しいんだよ。なんだかこう、熱っぽくて」
この虎先生の声色が妙に色っぽくて恋の病だとか言い出すのではないかとハラハラした。
「どうだ、熱があるか?」
「ありゃ!?」
まあ仮病だったようです。新に知らせに来た広道も一枚噛んでたということで、広道はそこそこ融通がきくらしい。
虎先生は新のおでこのたんこぶに気づいた。
「痛くないのか?」
「知りませんね」
「なめてやろうか」
「バカバカしい!止めてくださいよ!」
なめてやろうかが卑猥に聞こえてドキッとしました。ケンカで遠慮なくポンポン言い合いしている2人ですが、色恋方面のきわどい言葉はありませんでした。「なめてやろうか」は2人の不可侵境界を踏み越えてしまったように思えます。
そりゃそうだ。だって虎先生は腹を決めたもの。新くんのおでこをなめるくらいで怯んでたまるか。
「新くん、俺のかみさんになってくれないかな」
「好きだったんだよ。子どものときからずっと」
新が驚いてジタバタして花瓶を落としてコミカルなBGMが流れているのに
虎先生はコミカルな空気に流されずに、うつろな瞳で新を見つめていた。
次回につづく!
プロポーズの言葉そのものよりも、絞り出すような声で「好きだったんだよ。子どものときからずっと」にグッときました。ずっと言えなかった言葉だったと思うんですよね。