ごごラジ!「検証・昭和のTVドラマ」『ありがとう』の書き起こし

2016/6/26 日曜日 - 20:06:23 タグ: ,

『ありがとう』第2シリーズの放映が終わってから、はや一週間。みなさま、いかがお過ごしですか。
虎先生がいかに新にデレていたかを思い返しては、ニヤニヤしたり切なくなったりしています。ああ、ありがとうロス。
もっと語りたいです。感想を話し合いたいです。

ラジオで『ありがとう』を取り上げるという情報を、ツイッターでいただきました。ありがとうございました。
この番組を聴くためだけに、スマホにラジオアプリをダウンロードし、仕事中にコソコソ録音しました。
 
 
 
ごごラジ!「検証・昭和のTVドラマ」『ありがとう』
2016年06月17日(金)放送

神門光太郎アナウンサー: さあ、様々なジャンルの情報を日替わりでお届けする『ごごラジ!好奇心のコーナー』。今日は映画監督で漫画家の杉作J太郎さんにお越しいただいております。どうぞよろしくお願い致します。

杉作J太郎: よろしくお願いします。

神門: 往年の名作ドラマを独自の視点で語っていただく「検証・昭和のTVドラマ」さあ今日検証致しますのはホームドラマの傑作『ありがとう』

<ありがとうのOPが流れる>

神門: 水前寺清子さんの歌う『ありがとうの歌』チータでございますね。聴き入ってますね。

杉作: どもども。そうです。懐かしいなあと思って。聴かれてるひとの邪魔をして良いのかなと思ったんですけど、邪魔させてください。『ありがとう』というのはですね、このいま歌っておられます水前寺清子さん、そして石坂浩二さん、そして日本を代表するお母さん女優と言われておりますね山岡久乃さん。この3人が中心になりまして展開していったホームドラマなんですね。

神門: わたし『ありがとう』世代ではないんですが、最近また再放送もね、どこかのチャンネルでやってたり。やっぱり根強い人気なんですね。

杉作: 視聴率が当時、民放でですよ、50%超えてたんですよ。56.3%!

神門: えらいことですね。

杉作: これは大変在宅率がすごかったのかな。在宅してるわけですよ家で。携帯テレビとかありませんから。

神門: だからそのために『ありがとう』が始まるからって家に帰るって方も大勢いらっしゃったってことですよね。

杉作: そういうことだと思います。もう泥棒があがったりだったと思いますけどね。ちなみにね、視聴率の最高はNHKなんですよ。さっき民放ではってわざわざ言いましたけど。じゃあ民放ではってなんで言ったの?っていうと、NHKなんですよね、実は。NHKのドラマ、わかります?

神門: 『おしん』?

杉作: 当たりです!1位は『おしん』です。おしんの物まね(割愛)
『ありがとう』の出演者は乙羽信子さん、児玉清さん、長山藍子さん、佐良直美さん、沢田雅美さん、岡本信人さんあたりは第1シリーズから全部で第4シリーズまであるんですけど、ずっと出演されるんですよ。
ところがね、変わっているのは、出演者はいつも一緒なんですよ。一緒なのに物語は全く違うんですよ、実は。

神門: というと?

杉作: 『ありがとう』は『ありがとう』なんですよ。

神門: 『ありがとう』というタイトルは変わらないんだけれども?

杉作: ありがとう精神もあるんですよ。ありがとうスピリッツは完全にあるんですけど、設定と役柄が違うんですよ。
だから第1シリーズが婦人警官編、第2シリーズが看護婦編、第3シリーズが魚屋編、第4シリーズがカレー屋編という。あなたはどの編をよく覚えてますか?ってくらいね。あ、そうだったっけ?という人もいると思いますよ。

神門: ああ、確かに。過去の映像を途切れ途切れにダイジェストで見ると、お店屋さんで働いている水前寺清子さんもいれば、それこそ婦人警官の恰好の場面もあるし

杉作: そうそう。

神門: なんなんだこのドラマはと。

杉作: そうそう、この人いろんな職業やったのかなって展開になりますけど、それは違うんですよ。全然別の役なんですよ。

神門: 名前はどうなんですか?同じなんですか?

杉作: 名前も違うんですよ。

神門: 名前も違うんですか。

杉作: 関係性は一緒なんですよ。石坂浩二さんと軽い恋愛関係になっていって、いまでいうラブロマンス、ラブコメ、あだち充さんみたいな世界に入っていくのは事実なんです。

神門: あだち充さんですか(笑)

杉作: 『タッチ』みたいな感じになっていくのは事実なんです。近所に住んでるもの同士ですからね。ただ、ちょっとした輪廻転生じゃないけどね、『火の鳥』みたいな話なのかもしれません。

神門: 生まれ変わったらまた一緒になりましょうね、みたいな(笑)

杉作: だから『ありがとう』は『火の鳥』にちょっと似てますね。『火の鳥』もわりと登場人物が似ているじゃないですか。鼻の大きな我王ですかね。でも役はいつも違うわけですよ。そういう部分もあるのかもしれないけど、それはちょっと違うでしょうね、たぶんね。

神門: 違うんですか。どこかに着想のヒントを得たわけでは。

杉作: すいません。たぶん違うと思います。

神門: 1970年から75年まで、わたし生まれる前ですね。ホントに。

杉作: まだね、日本がね、高度成長期です。オリンピックのあとですから。

神門: 万博が70年というのをずっと何回も放送の中で言ってるんですけど。その時期です。

杉作: そうですね大阪万博の。だからもう世の中みんなが頑張っていこうやって、そこで『ありがとう』ってドラマなんですけど

神門: ええ、ええ

杉作: これがですね、物語がちょっと変わってましてね。普通はいまのドラマだと問題が起きたりとかね、アクシデントが起きたりとか、大変なことがあったとかで視聴率を取っていこうとする、民放の場合は。『ありがとう』は一切ないんです。

神門: どういうことです?

杉作: たとえば、嫁姑みたいな感じになってくるんですけど険悪な雰囲気には絶対にならない。

神門: (笑)嫁姑問題はありそうなんだけれども。

杉作: 設定としてはその関係性は当然あるんですが、親戚同士の争いとかも一切ないし。

神門: みんな仲良し?

杉作: みんな仲良し。悪い人はいない。

神門: それでどう物語を進展させていくんですかね。

杉作: だからこう、それでなんていうんですか、些細な日常の中で若干の困ったこととかは起きるんでしょうね。500円足りないとか、急いでなんとかしなくちゃいけなくなったとか、どこそこへ急いで行かなきゃいけなくなるとか。お祝いなににしようかとか。好きな人が家にくるんだけどどうしようかとか。そういうことなんですよ。

神門: 日常の中にドラマがあるといいますけれども、本当に日常の中の日常ですね、それは。

杉作: だからそういう意味でいいますと、ちょっとみなさんイメージしにくいかもしれないですけど、いまの若い方がこれを聴いていたら。『サザエさん』とかに近いかもしれませんね。

神門: あああ、なるほど、なるほど。確かに大きな出来事はあんまりないですもんね『サザエさん』も。カツオが0点とるとかそんなもんで。

杉作: こういうことなんですよ。石坂浩二さんと水前寺清子さんが恋愛をする時点で、これも若干ドラマチックでしょ。

神門: ええ。

杉作: 水前寺清子さんというのは男らしい、というか「んー!?」というような、そういう感じの方ですから。石坂浩二さんがどっちかというと優しくソフトな感じの方。この2人が恋愛をするだけで若干すでにドラマはあるといえばあるわけですから。

神門: そのシチュエーションそのものが。

杉作: ここから、この脚本すべて平岩弓枝先生なんですが、平岩弓枝先生が細かく細かくきめ細やかに物語をえがいていくわけです。たとえば石坂浩二さんと水前寺清子さんがいよいよ付き合い始めてキスしようとキスをね、口づけをしようとした瞬間、誰かが入ってきた。

神門: (笑)(笑)(笑)

杉作: そういうことをしていくわけですよ。

神門: みんな、石坂浩二さんと水前寺清子さんを心から応援しようと視聴者の方多かったんですよね。

杉作: 応援してるし、周りの出演者の人たちも応援はしてるんだけど、そこへ岡本信人さんとかが入ってくるわけですよ。

神門: (笑)悪気もなく(笑)

杉作: 悪気もなく。そんで「なんかしてたの?」みたいな。

神門: (笑)(笑)(笑)そこを察しろよ、と。

杉作: ええ。これが第2シリーズとかになると井上順さんが入ってきてますから、井上順さんがその役でしょうね。

神門: は~~~

杉作: 入ってくるわけですよ。で、悪意もなく「なんかあったの?」みたいな。井上順さんの顔が目に浮かんできますね。

神門: いつも(お便りを)いただく方から、「人間のあたたかな心のふれあいがしみました。いまの時代にあのような番組があったらもう少し暮らしやすいあたたかな世の中になると思います」という。そうなんですね。

杉作: まさにそうだと思いますね。だからいまはどちらかというとね、悪い面とか嫌な面とかを誇張してじゃないですけど、えがきだしていこうという克明にえがくドラマや映画とかがわりと流行りますけどね。

神門: こんなこと本当に世の中に起きるんだっていう。奇想天外なことが起きたりとか。

杉作: ところがこれはね、逆にいいますとね、こんなことが世の中に本当にあるのだろうかというのが良い部分なんですよ。で、いいことがたくさんあると楽しくて気持ちいいなっていう気持ちになるんじゃないですかね。
あと全体を通してのシリーズの特徴がありましてね。お父さんはいないんですよ。この家に。

神門: はいはい。

杉作: これはね、おそらく、高度経済成長期ですから父親が家にいないんですよね。お父さんがいる家庭でも働きに出てて、遅くまで仕事してて。遅く帰ってくるから。お父さんがいないほうがホームドラマとしてリアルだったわけですよ。

神門: それってどういうことですか?

杉作: お父さんはいつも家にいないから、どっちみち。仕事してるわけですよ。残業残業でね。いまみたいな時代ではないわけですよね。

神門: 敢えてお父さんという設定を排除したと。時代を反映させて。

杉作: それで山岡久乃さんの存在が大きくなってくるわけですよ。

神門: なるほど。

杉作: だから山岡久乃さんと石坂浩二さんといえばこれは親子ですから名コンビでね。素晴らしかったですよね。のちにね、いま見ようとして見られるのは市川崑監督の『犬神家の一族』という映画……その次の『悪魔の手鞠唄』っていう映画。あの映画で石坂浩二さんが山岡久乃さんの家に聞き込みにいくんですよ。三味線のお師匠さんのところに。このときにね、物語は陰惨な物語なんですけど、信じられないようなあたたかな空気が流れるんですよ。

神門: 『ありがとう』の空気が。

杉作: さすが市川崑は素晴らしいキャスティングするなと思って唸ったのを覚えてますがね。ここにもってくるか。2人とも初対面なんですけど全然そんな感じじゃないんですよ。あたたかいんですよ。ありがとうって感じなんですよ。

神門: ホームドラマ。そこだけ。

杉作: それぐらい、この3人のチームワークはよかったですね。

<ありがとうの内容から反れたので割愛>

杉作: いまと違うのは全てスタジオなんですよ。スタジオドラマ。いまはホームドラマとか普通のテレビドラマでもロケものが多いなか、全部スタジオの中で。それで当時TBSがまだ緑山が出来る前なので、おそらくセットもそんな大きいのは組めなかったと思うんですよ。だからわりとこじんまりとしたセットで、こじんまりと展開していった物語ではあるんですが

神門: じゃあ、あそこの赤坂で撮っていたということなんですかね。

杉作: 可能性はあるんじゃないですかね。

神門: そうですか。

杉作: スタジオドラマですからね、リアリティは難しいなってところはあるんでしょうけど、そこを出演者のみなさんの軽妙な感じで全部出していかなきゃいけないという。これはやっぱり出演者に比重は結構あったと思いますね。

神門: だからもう、そういう周りのセットの背景がどうだどか、そんなことは一切、そんなに気にならないくらいの、人間にも迫ったドラマだったといえるかもしれませんね。

杉作: そうですね。それを毎週決まった時間にテレビで見ることによって、第2の、自分がいま暮らしている家族とは別のもう一つの家族を自分がもってるかのような。そういうあたたかい気持ちになれたんじゃないですかね。ホッとするような。だから一人暮らしの方なんかでも番組を見ていると一緒の家にいるような。そういう気持ちになれたんじゃないかと。

神門: この70年代に放送された『ありがとう』ってドラマですけれども、ひとつ考えるとどういうドラマだったといえるでしょうかね。

杉作: セットのこともそうですけど、よぶんなことはわりと省いてあるわけですよ。本当に必要なものだけをえがいていこうという、大切なことだけをちゃんと伝えていこうという、それがタイトルにも出ているわけですよ。『ありがとう』この気持ちを大事にしていこうよ。そして中で語られる物語もね、チータ、水前寺清子さんが言うのはね「嘘をついちゃいけないよ」それとか「勇気のない男はいけないよ」とかね。これは山岡久乃さん、大事なことを何度も何度も繰り返し言うわけですよ。それによってピュアな登場人物、ピュアな視聴者、そういう浄化作用のようなものがね、あったドラマだと僕は思いますね。

神門: 先ほども、いまの時代にそういうドラマを放送してはどうかという意見もありましたけれどもね。

杉作: 真実を見せるのもいいんだけど、理想像を毎週えがいていくことにも意味はあるよという、まさにそういうドラマだと。それが支持されたわけだから、わりと良い世の中だったんじゃないかと思いますね。

神門: それでドラマの世界に自分自身も入っていってしまったというメールもあって
「まだ子どもだったので細かいストーリーは覚えていませんが、楽しみに見ていた記憶があります。本当に誰もが見ていましたよね。当時はドラマと現実とをゴッチャにしている人が多かったです。石坂浩二さんと水前寺清子さんは本当に結婚したんだと思っていた人たくさんいましたよね」

杉作: そうでしょうね。

神門: それぐらい、錯覚させるくらい

杉作: ありましたね。物語の中で死んだ人がいたら本当に僕も死んだと思ってましたからね。そういう時代だったと思いますけど。そういう部分も含めて視聴者の方もピュアだったんですね。

神門: ピュアにいきたいものですね。

杉作: そうです。

神門: 今日は「検証・昭和のTVドラマ」と題しまして杉作J太郎さんにあの高視聴率ドラマ『ありがとう』を紹介していただきました。ありがとうございました。

杉作: ありがとうございます。

神門: ありがとうございました。
 
 
 
話題が光と進矢さん、あるいは新と虎先生、はたまた愛と元気の恋愛模様が多めだったことに非常に満足しております。
悪い人はいない、みんな仲良しであることや、父が不在の背景、出演者の技量が高かったことなど、うんうんと何度もうなずきました。
この番組では「懐かしの~」ですが、我々にとってはつい一週間前なので、不思議な感覚で聴いていました。

↓こんな場面は見てないし!
たとえば石坂浩二さんと水前寺清子さんがいよいよ付き合い始めてキスしようとキスをね、口づけをしようとした瞬間、誰かが入ってきた。
見たかったああああああ。


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