『好きっていいなよ。』1~5巻を読んだよ

2010/7/14 水曜日 - 20:25:09

葉月かなえ・著
講談社デザートコミックス

 

ひとことで言えば『君に届け』の別バージョン。
違いは主人公が屈折しているところと、初っぱなからキス全開でスキンシップ旺盛なところ。
音楽にたとえると、『君に…』は「いきものがかり」で、『好き…』は「Hysteric Blue」。ものすごい乱暴なたとえですみません。
『君に届け』で付き合うまでに10巻かかったり、未だにキスもしていない状況に「もっと主役カップルはベタベタイチャイチャしろー!」と思ってらっしゃるならば、ニヤリとすることうけあい。
『好き…』は『好き…』なりにピュアです(まだ一線は越えず)。

以下ブチブチと文句混じりかもしれませんが、私は楽しんで読みました

『好き…』の気になる点は
1.主人公のキャラクターが弱い
2.主人公の彼がモテすぎ
3.説教くさくならないでくれー
4.後書き
だと思います。

1.主人公のキャラクターが弱い
主人公は唐突に口調や彼(黒沢大和)への呼び名が変わります。
「黒沢」→「黒沢くん」→「黒沢」→「大和」
最終的に「大和」に落ち着くのは良いとして、不可解なのは「黒沢くん」→「黒沢」に変わるくだり。
主人公は彼を呼び捨てにするのに凄い抵抗を感じているのですが、最初呼び捨てしてたじゃん、と。
周囲の人に対しても「であるが調」と「ですます調」が混在していたり。
これらが、主人公の人間的に未熟で不安定な部分を意図的に表現したものなのか、単にキャラ作りに迷走していただけなのか、わかりません。

主人公彼がキャラ立ちしているだけに、主人公のキャラの薄さが気になります。
アマゾンの書評に「ストーリーにキャラクターを当てはめている感じ」と書かれていましたが、その通りに思えました。キャラクターがストーリーを動かしているのではなく、ストーリーにキャラクターが動かされている感じです。

 

2.主人公の彼がモテすぎ
漫画なんでね、モテるのは良いのですが、どいつもこいつも彼を好きっていうのは、物語が薄っぺらくなる諸刃の刃。
彼にモテる要素は十分にあります。ハンサムでスタイルがよくて性格がいいですから。そしてちゃんとエロい。聖人君子ではないところも魅力です。まさに完璧超人、そりゃ誰だって惚れちゃうよ。ちなみに家もデカい。

でも、誰でも彼に惚れちゃうのは恋愛物として、どうかなあと。
4巻までに登場した名のある女の子は主人公以外に4人ですが、最初から彼以外の男を好きだったのは1人だけなんですよねー。
2人は主人公の友達になるのですが、彼女らも当初は主人公の彼狙い。
しかもその理由が真っ当。ただ見てくれに惚れたわけじゃなくて、彼の思いやりのあるところに惚れちゃってるわけです。
でも、彼は主人公一筋なので諦め、自分を好いている男と付き合います。

恋愛が主テーマの漫画としては、恋愛のパターンが貧弱かなあと思います。
主テーマが別にあって、恋愛は添え物ならばワンパターンで記号的な恋愛でも全く気にならないのですが。
友だちは元恋敵というのは、少年漫画にたとえると昔ライバルが今は協力して強大な敵を倒す、みたいなものでしょうか。

友だち関係については、『君に届け』に軍配があがります。
こちらも主人公彼はモテますが、友だち2人にとって主人公彼は全くの恋愛対象外。主人公彼は彼女らに「(主人公彼の)存在自体が嘘クセー」と言われる始末です。
おまけに1人は主人公彼と同じ中学出身で、中学時代に主人公彼を取り合う女集団の争いに巻き込まれ、手痛い目に遭ってます。その子は他に片思いしている相手がいるので、まさにとばっちりもいいところ。しかし『君に…』はそこが良い。
主人公彼のハーレム状態じゃない方が、恋愛物としてリアリティがあるのでは、と私は思います。
恋愛って「素敵な人」に惚れるんじゃなくて、「理由は判らんけど、コイツが好き」ってものじゃないでしょうか。言うなれば恋愛的な「素敵な人」とは一般的な評価ではなく、自分だけの評価といいますか。
って、未だに私は夢見過ぎか。

 

3.説教くさくならないでくれー
まだ今はそれほど目につきませんが、今後が不安。
連載が長くなれば物語は広がったり深くなったりします。その方向が説教方面になるとしんどい。
これも説教が主テーマならば気にならないのですが(そんな漫画、私は読まないが)、本来軽い話のはずが、内面にやたら深い傷を負っていたり、人生を語っちゃったりすると、ちと辛い。

他作品ですが『まっすぐにいこう。』(キャッチコピーは「すてきなラブメモリー」)も、秋吉(主人公彼)が養子だったり、育(主人公)が秋吉と付き合っていることで虐められたりする話で脱落しました。まあ、こちらはわりと初期から説教臭さが鼻についてはいました。

リアリティと説教の匙加減って難しいと思います。
キャラを掘り下げようとすれば楽しい話ばかりではなくなるし、いさかいを描くこともあるでしょう。でも、やっぱり私はしんどい話も説教もいらないなー。
現実はしんどいのだから、物語の中ではスカッとしたい。

どうしてこういう不安が出てきたかと言うと↓以下4.に続きます。

 

4.後書き
単行本の後書きに一抹の不安が。
作品に自己投影するのはアリだと思いますが、それを大っぴらに語るのは良くないんじゃないかなーと思うのです。
語りに熱が入れば入るほど読んでいる方は冷めるおそれがあります。
特に、このようなジャンルでは。
あー、でも若い子(私は30代なので)は、こういう作者の語りにも共感して、より漫画を面白く読むのかなあ。

しかし私は良い意味での与太話を読みたいわけで、ぶっちゃけ面白ければ何でも良いんです。本当の話だろうが、作り話だろうがどうでもいい。
エンターテイメントが読みたいのです。

 

以上、文句ばっかりっぽいですが、面白かったのは本当です。何度も読み返しました。
試練は程ほどに、ラブラブでいっぱいにして欲しいなーと思います。
少女漫画は、やっぱ胸キュンでしょ!

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